その恋、両思い未満

とくん、とくん、と心臓が大きく鳴っていることに気づいた。


もえの、言う通りだ。
男の子ってそう言えばこう言う感じだった。
高校生にもなれば、男と女って、それだけで難しい関係にもなってくるんだと思う。


出て行く選択肢はない。
あの家に戻るつもりはない。
私の居場所なんて、どこにもないから。


もえを追い出すつもりだって、全くない。
ここ数年、こんなに心穏やかな1日を過ごした日なんてない。
それはもえが私のために何かと手を焼いてくれるからだし、私のことをわかってくれているからだ。
私のことをこんなに受け入れてくれるのなんて、もえしかいない。



……だから、だろうか。
心臓がうるさい。
だけどそれは、違う。



「もえのこと、怖くないよ」



怖いとは、これっぽっちも思わなかった。


私の言葉にもえは面を食らったような顔をした。
なんで、と小さい声も聞こえた。


「なんでだろ、わかんない。けど、怖くない」
「……ほんとに?今は何もしてないからじゃない?
俺がこのまま、なぎの手を離さなかったら?
力を込めて、痛い思いをさせるかもしれないし、
ここに、キスマつけるかも」