ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉


 その日、私と夏目先輩は、リレー小説というものを書いてみた。
 交互にお話を書いて、二人でひとつの小説を書く、ってものみたい。

 最初から一人で書くのはちょっと不安だった私に、夏目先輩が提案してくれたのだ。


「まずは俺が書くから、次の行から咲森が書いてくれ」
「わ、わかりました……!」


 夏目先輩から渡されたルーズリーフには、こんなお話が書かれていた。


『俺と彼女が出逢ったのは、桜吹雪の舞い散る公園だった。薄ピンク色に染まった花びらが絨毯のように辺りを埋めつくしていて、花の精と見まがうほどに美しい彼女に、俺は思わず息をのんだ。』


 夏目先輩の書いた文章に、私は目をぱちくりさせてしまう。
 すてきな出会いのシーンだ! 男の子が、女の子に初めて出逢うシーン。
 先輩の文章は、とても落ち着いていてきれいで、二人はこのあとどんな行動をとるんだろうって、続きが気になっちゃった!


「それで、この続きはっ?」


 私が思わず尋ねると。


「咲森が書くんだ」
「ええっ、この続きを私が書くんですかっ!?」
「リレー小説なんだから、当たり前だろう?」


 そうだった! 二人でひとつの物語を書くんだった!
 む、難しすぎるっ!
 このお話の続き……、二人はどうなるんだろう……?

 頭を抱えていると、夏目先輩が私の顔をのぞきこんできた。


「そんなに難しく考えなくてもいい。こうだったらいいな、とか、こういう展開になったら嬉しい、というのを気楽に書いてみてくれ」
「き、気楽に……。わかりましたっ」


 私は想像をふくらませて、二人の物語を紡ぐ。


「ええっと……『すると彼女はくるりとこちらを振り返り……』」


 そんなふうにしばらく二人でお話を書いてみた。

 小説を書くって難しいっ……!!
 読んでいるときにはわからなかったけれど、いざ書いてみると、うまく言葉が出てこなくて、どう表現したらいいのかわからなくて……。

 小説を書くって、こんなにも難しいんだ。
 でも、ちょっと楽しいかも……!!

 自分の書いた言葉たちが集まって、一つの物語になっていく。
 お話を書くのははじめてだったけれど、もっと自分の気持ちを上手く書けるようになりたいなって思っちゃう。

 夏目先輩はやっぱりすごい。先輩の小説は、恋する気持ちがみずみずしく書かれてるんだ。
 私は思わず、ぽつりと聞いてしまった。


「先輩……本当に恋したことないんですか?」
「ない」