「……さあ、なんでだろうな?」
「ええ?」
「俺には到底わからない感情だからかもしれない。だからこそ、恋愛に興味があるし、知りたいのかもな」
「な、なるほど……?」
夏目先輩って、やっぱりちょっと変わった人かも?
「そういう咲森は、好きな人はいるのか?」
「うえっ!?」
お友達ともまだ恋バナしたことないのに、先輩からそんな話を振られて、私はびっくりしてしまう。
「星名か?」
「ええっ、ど、どうしてそこに星名くんが出てくるんですかっ」
「いつも一緒にいるだろ?」
「そ、それは同じクラスだからで……」
私がもにょもにょ答えていると、星名くんがひょこっと顔を出す。
「呼んだ?」
「ほ、星名くん……っ!」
同じ教室内で活動しているのだから、当然そこに星名くんもいるのだろうけれど、まさか話、聞こえてないよね……?
星名くんはいつもの穏やかな笑顔を浮かべている。
「咲森さん、今日から夏目先輩の文芸部だっけ」
「う、うん」
夏目先輩が変なこと言うから、ちょっと意識しちゃう……。
私と星名くんの会話を、夏目先輩はじーっと聞いている。
「せ、先輩?」
「俺にかまわず、続けてくれ」
「えええ、そんなこと言われても……」
戸惑う私に、星名くんが頭上に「?」マークを浮かべている。
「えー? なになに恋バナー?」
と千景先輩もやって来て、なんだか恥ずかしくなってきてしまった私は、
「と、とにかくっ! お話を書いてみましょうっ」
と恋バナを打ち切った。
夏目先輩、クールっていうより、めちゃめちゃマイペースな人だっ。



