青に溶ける、きみ。




「勉強はちゃんとしなよ?」



なぜか先生みたいな顔で釘を刺される。私は曖昧に頷きながら、じゃあね、と手を振った。緑は最後まで意味深に笑っていた。

絶対あとでいじられる。そう思うと気が重いのに、不思議と嫌じゃなかった。


晴海のところへ戻る。近づくだけで、また鼓動が速くなる。



「待たせてごめん」

「全然」



晴海はスマホをポケットにしまいながら歩き出した。その隣を、今度は少しだけ近い距離で歩く。


図書室へ向かう廊下。

窓の外では、強い西日がグラウンドを照らしていて、白線が眩しく光っていた。

誰かに見られている気がした。

別に悪いことをしているわけじゃない。ただ一緒に勉強するだけ。それなのに、隣を歩くたび、肩が触れそうになるたび、胸の奥が落ち着かなくなる。


クラスメイトに見られたらどうしよう。緑みたいに変に勘ぐられたらどうしよう。そんなことばかり考えてしまう。


でもたぶん、本当に怖いのは、“期待してる自分”を見透かされることだった。


図書室までの道が、やけに長く感じた。

夏の夕方の光が廊下を染めて、その中を歩く晴海の横顔は、どうしようもなく眩しかった。