校門を出ると、晴海が隣を歩きながら言った。
「急に海って珍しいな」
「そうかな」
「うん。夏井って、意外と計画立てるタイプじゃん」
「何それ」
「いや、なんとなく」
くだらない会話。でも、そんな時間が好きだった。
特別なことをしなくても、晴海といるだけで心が満たされる。
それを私はもう知っていた。
だからこそ、今日伝えたいと思った。
この気持ちは、ただ胸の中にしまっておくものじゃない。
晴海と出会えた夏を、思い出だけで終わらせたくなかった。
歩く速度を少しだけ合わせながら、私は夕焼けに染まる道を進んだ。
隣には晴海がいる。
あと少しで、ちゃんと言葉にする。その瞬間を想像するだけで怖くなる。
でも、不思議と足は止まらなかった。
私はもう決めたから。
私の未来も、晴海への気持ちも、どちらも大切にすると。



