実際の私は、晴海が言ってくれたような人間とは、きっと少し、いや、だいぶ違う。
でも。その印象を、壊さないようにしようと思った。
晴海の周りにいる友達みたいには、なれない。
同じテンポで笑ったり、肩を組んだりする距離には、まだ行けない。
それでも。隣にいて、恥ずかしくない存在でいたい。
球技大会の話が終わると、そのままホームルームが始まって、連絡事項が淡々と流れていく。
そして。
キーン、コーン、カーン、コーン。
授業の終わりのチャイムと同時に、一斉に椅子が鳴った。
「夏井、じゃあね。また明日」
晴海は、いつもと変わらない顔で、でも今日は少しだけ、胸に残る。
「うん。また明日」
それだけの言葉なのに、明日が来るのが、少し楽しみになる。
教室を出る背中を見送りながら、私はそっと、息を整えた。
この夏が終わるころ、私はどんなふうに、晴海の目に映っているんだろう。
答えはまだ分からない。
でも、この季節の途中にいることだけは、確かだった。



