「嫌なんだ」
私の口から、自然と言葉がこぼれる。
「晴海が遠くに行くの、嫌だ」
涙が出るほど悲しいわけじゃない。でも、胸の奥がずっと締めつけられている。
「私、晴海が頑張ることは応援したい。でも……」
言葉が止まる。
「でも、隣にいられなくなるのは嫌」
緑は優しい顔で私を見る。
そして、少しだけ間を置いて、緑が言った。
「それだけ晴海のこと大事なんだね」
「……うん」
「大事だから」
大事だから、離れるのが怖い。
「そっか」
そして緑は、夕焼けに染まる空を見上げる。
「でもさ、……晴海も、何も思ってないわけじゃないと思うよ」
その言葉に、胸が小さく揺れる。



