廊下を歩きながら、私は何度も小さく息を吐いた。
落ち着こうとしても、頭の中ではさっき聞いた言葉ばかりが繰り返される。
県外。一人暮らし。
その二つの言葉が、離れない。
たった数分前まで、私は自分の進路のことで精一杯だったはずなのに。
今はそれよりも、晴海がこの街を離れるという未来のほうが、ずっと現実味を持って胸に迫ってきていた。
教室へ戻る途中、窓の外に目を向ける。
校庭では体育の授業をしているクラスが見えた。
夏休み前と何も変わらない景色。
なのに、私だけが取り残されたみたいな気持ちになる。
卒業なんて、まだ半年も先なのに。どうしてこんなに寂しいんだろう。
教室の前まで来て、一度だけ深呼吸をした。
こんな顔のまま入ったら、きっと緑に心配される。
そう思って口角を少しだけ上げてみる。でも、自分でも分かるくらいぎこちなかった。



