教室では毎日隣の席で、休み時間になれば他愛もない話をして、一緒に笑って。
それが当たり前になりすぎていた。
当たり前って、ずっと続くものだと思っていた。
でも違う。高校生活にはちゃんと終わりがある。
そして卒業の先には、それぞれ違う道が待っている。
そのことを、私は今までちゃんと考えたことがなかった。
「……離れちゃうんだ」
誰にも聞こえないくらい小さな声が、自分でも気づかないうちに零れていた。
その一言に、自分が一番驚いた。
胸の奥がじわりと熱くなる。
大塚くんに告白された時も、返事をした時も苦しかった。
でも、今感じている苦しさは少し違った。
まだ何も失っていないのに、失う未来を想像して苦しくなる。
この気持ちは、一体何なんだろう。
私は手に持った進路調査票をぎゅっと握りしめた。紙に小さなしわが寄る。
それでも、そのしわよりずっと深く、胸の奥に何かが刻まれてしまった気がした。



