青に溶ける、きみ。




「三年生だからって、みんな夢が決まってるわけじゃないよ」



その言葉に少しだけ顔を上げる。



「案外、なんとなくで決めてるやつも多い。大学へ行ってから見つけるやつもいるしな」



先生は机の上に置いてあった大学案内を軽く叩いた。



「だから、最初から完璧な答えを探さなくてもいい。ただ、どこで四年間過ごしたいかとか、自分が無理なく通える場所とか、そういう決め方だって立派な理由になる」



私は静かに頷いた。

その言葉を聞いているうちに、この夏休み、何度も頭の中をぐるぐるしていた考えが浮かぶ。


県外に出たい理由は、特にない。家を離れたいと思ったこともない。


両親は「好きなところへ行きなさい」と言ってくれているけれど、本音ではあまり負担をかけたくなかった。


だったら、県内の大学を目指すのが一番自然なのかもしれない。



「……先生」

「ん?」

「県内の大学で、考えてみます」



そう言うと、先生は少しだけ笑った。



「うん。それも立派な選択だ。もちろん途中で変わってもいい。でも、一歩進めたな」



たったそれだけなのに、不思議と肩の力が少し抜けた。