先生のあとを歩きながら、私は何度も進路調査票へ目を落とした。
何も書かれていない白い紙が、責めるように目に入る。
たった一枚の紙なのに、その先には卒業も、受験も、その先の未来も全部つながっている気がして、うまく息が吸えなかった。
職員室へ入ると、先生は空いていた席へ腰を下ろし、「そこ座って」と向かいの椅子を指さした。
私は小さく返事をして座る。
「夏井」
先生が進路調査票を見ながら口を開く。
「夏休み、考えてみたか?」
その問いに、すぐには答えられなかった。
「……少しだけ」
先生は苦笑いする。
「少しだけ、か」
責めるような言い方ではなかった。それでも、その一言が胸に刺さる。
「何がやりたいか分からないんです」
ぽつりと本音がこぼれた。
「大学には行こうとは思ってるんですけど、何を勉強したいのかも、将来何になりたいのかも、全然分からなくて……」
言葉にすると、自分でも情けなくなった。
先生は頷きながら最後まで聞いてくれた。



