青に溶ける、きみ。




「ホームルーム始めるぞー」



先生が教室へ入ってくる。いつもと変わらない声。

でも、三年生になってからは、その一言一言に少しだけ緊張するようになった。



「夏休み前に出してもらった進路調査票、返すからな」



先生がそう言った瞬間、教室の空気が少しだけ変わる。


笑っていたクラスメイトたちも自然と前を向き、教卓へ視線を集めた。



「白紙で出したやつもいたし、まだ決められてないやつも多いと思う。でも、もう9月だ。ぼちぼち本気で考えろよ」



先生は一人ずつ名前を呼びながら進路調査票を返していく。



「夏井」



呼ばれて紙を受け取る。手元に戻ってきた進路調査票を見て、小さく息をついた。


第一志望。第二志望。第三志望。

その全部が空欄のまま。


夏休み前、最後まで書けなくて、そのまま提出した紙だった。