「夏井」
「……なに?」
「大丈夫?」
「……うん」
反射的に答える。でも、晴海は少しだけ首を傾げた。
「無理してない?」
「……少しだけ、大塚くんのこと考えてた」
正直に言うと、晴海は黙って聞いてくれた。
「優しい人だったから。だから、私が傷つけたみたいで……」
晴海はしばらく黙ったあと、静かに言った。
「夏井は、ちゃんと向き合ったじゃん。逃げなかったでしょ。大塚も、たぶんそれを分かってると思う」
「……晴海って優しいね」
そう言うと、晴海は少し驚いた顔をする。
「俺が?」
私が頷くと、晴海は少し照れたように笑った。
「夏井には言われたくないかも」
その意味は分からなかったけれど、なぜか胸に残った。
夕方、ひまわり畑を出る頃には、空が少しずつオレンジ色に染まっていた。
楽しかった。ずっとこのままでいたいと思った。
でも、帰る時間が近づいていることに気づくと、急に寂しくなる。



