花火大会の日、偶然だと思っていた出会い。
泣いている私のところへ急いで来てくれたこと。何も言わずに隣にいてくれたこと。
そして今、夏が終わる前に、もう一度私との時間を作ろうとしてくれていること。
「……ずるいよ」
小さく呟く。
こんなの、期待してしまうに決まっている。
もしかしたら、なんて考えてしまうに決まっている。
でも、本当は分かっていた。
私だって、同じ気持ちだったから。
夏が終わってほしくない。もっと晴海と一緒にいたい。あの日の花火みたいに、消えてしまう前に、この時間を大切にしたい。
私はゆっくり文字を打つ。
〈私も、晴海との夏、まだ終わらせたくないよ〉
送信ボタンを押した瞬間、心臓がうるさいくらい鳴った。
画面の向こうにいる晴海が、今どんな顔をしているのか知りたかった。
夏の終わりは、少し寂しいものだと思っていた。
でも、今年の夏は違うかもしれない。まだ終わらないでほしいと思える時間が、もう少しだけ続いてくれる気がした。



