「実はね」
緑が少し迷うように言う。
「あれ、本当に偶然だったのかなって思ってる」
その言葉に、心臓が小さく跳ねた。
「……え?」
「花火大会の日、晴海が途中でいなくなったの」
晴海は確か、俺も迷子だって言ってた気がする…。
「あの時ね、晴海が私のところに来たの」
緑はゆっくり話し始める。
「『ちょっと抜ける』って。どこ行くのって聞いたら……『探してくる』って言った」
一瞬、意味が分からなかった。
「探してくる?」
「うん。夏井のこと探してくるって」
その瞬間、胸の奥が大きく揺れた。
私のこと?なんで?
頭の中に、いくつもの疑問が浮かんでくる。
だって、あの日の私は大塚くんと一緒だった。晴海には関係のないことだったはずだ。
私がどこにいるかなんて、気にする必要なんてなかったはずなのに。
「……なんで?」
気づいたら、声に出ていた。緑が少し首を傾げる。
「いや……なんで晴海が、私を探すのかなって」



