「……晴海?」
名前を呼ぶと、晴海は少し驚いたように顔を上げた。
「いや……」
そう言って、困ったように笑う。
「夏井も、ちゃんと優しいよ」
思いがけない言葉に、私は顔を上げる。
「そんな簡単に誰かを傷つけたくないって思えるのは、ちゃんと相手のこと考えてるからだろ」
その声があまりにも晴海らしくて、胸の奥がまた熱くなった。
「……でも、結果的に泣かせちゃった」
俯く私に、晴海は少し間を置いてから言った。
「それでも、大塚は夏井に伝えたかったんだと思う」
窓の外を見る晴海の横顔は、夕日の光で少し赤く染まっていた。
「たぶん、後悔してないよ」
その言葉に、また涙がこぼれそうになる。
「……なんでそんなこと分かるの?」
そう聞くと、晴海は少しだけ笑った。
「分かるよ」
短い返事。
でも、その声には何か言えないものを隠しているような気がした。



