「……大丈夫?」
「大丈夫じゃない、かも」
「……そっか」
それだけ言って、晴海は私の隣の席に座った。いつもの場所。毎日当たり前みたいに隣にいる場所。
「……ごめん」
「なんで謝るの」
「だって……晴海にこんなところ見られると思わなかった」
すると晴海は少し困ったように笑った。
「俺は、見れてよかったけど」
その言葉に、顔を上げる。晴海は窓の外を見ていた。
「夏井が無理して笑ってるより、こっちの方がいい」
胸の奥が大きく揺れる。
「……晴海」
名前を呼ぶと、晴海がこちらを見る。その目は、いつものふざけた雰囲気じゃなくて、まっすぐだった。
「大塚のこと、つらかった?」
「……………うん。すごく優しい人だったから」
晴海は黙って聞いている。
「だから、傷つけたくなかった」
そう言うと、晴海は少しだけ視線を落とした。
何かを考えるように、机の端を指でなぞっている。いつもならすぐに返ってくる言葉が、今日はなかなか返ってこなかった。



