青に溶ける、きみ。




隣にいた晴海が、ほんの少しだけ表情を変えた。

晴海は何か言おうとして、でもやめたように視線を逸らした。



「……大塚と話あるの?」



何気ない声を装っているけれど、いつもの晴海とは少し違う気がした。



「うん。ちょっとね」



そう答えると、晴海の眉がわずかに動いた。



「そう」



短い返事。それだけだった。

でも、その声が少しだけ寂しそうに聞こえたのは、私の気のせいだったのかもしれない。


でも、大塚くんが私の隣に立った瞬間、晴海の中で何かが引っかかったようだった。


私は気づかないふりをして、大塚くんと一緒に廊下へ出る。


夕方の校舎は、昼間より少し静かだった。

窓の外では、オレンジ色の光が校庭を染めている。隣を歩く大塚くんは、いつもより少しだけ緊張しているように見えた。



「ごめんね、急に呼び出して」

「ううん。私も話さなきゃいけないことがあったから」



そう答えながら、胸の奥で何度も言葉を繰り返す。


ありがとう。ごめんなさい。ちゃんと伝えなきゃ。

大塚くんの優しさを、なかったことにはしたくないから。