夏期講習が終わり、教室の中に少しずつ帰り支度をする音が増えていく。
机の上のノートを閉じながら、私は何度も小さく息を吐いた。
これから向き合わなければいけないことを考えるたびに、胸の奥が重くなる。
大塚くんの教室へ行かなきゃ。
そう思って鞄を持った、その時だった。
「あれ」
隣から晴海の声が聞こえた。
顔を上げると、晴海が廊下の方を見ていた。その視線の先を追うと、そこには大塚くんの姿があった。
まさか、と思った瞬間、大塚くんと目が合う。
「……いた」
小さく呟いた大塚くんは、少しだけ安心したように笑った。
「今から行こうと思ってたんだけど」
私がそう言うと、大塚くんは首を横に振る。
「いや、俺が行けばいいかなって思って」
その言葉に、胸が少し締め付けられる。わざわざ迎えに来てくれたんだ。
そう思うと、余計に申し訳ない気持ちが広がった。
「そっか……ありがとう」
そう答えると、大塚くんは優しく笑った。
「じゃあ、行こっか」
その瞬間だった。



