青に溶ける、きみ。




「昨日、本当にすごかったよね」



そう言うと、晴海は窓の外を見る。



「うん。でも、花火もだけど……楽しかった」



その一言が、胸の奥に静かに落ちてきた。

特別な言葉じゃない。ただの感想なのに、どうしてこんなにも大切に感じてしまうんだろう。


私は慌てて教科書を出して、視線を机の上に落とした。


これ以上、晴海の一言一言に心を持っていかれたら、今日向き合わなきゃいけないことを忘れてしまいそう……。



授業が始まってからも、隣から聞こえるペンの音や、小さなくしゃみ、休み時間に交わす短い会話。


その全部がいつもより鮮明に感じた。

昨日まで当たり前だった距離が、今日は少しだけ近くて、同時に少しだけ遠い。