開いたままの大塚くんとのトーク画面。
その白い余白だけが、今の私の迷いを映しているようだった。
何度も文字を打とうとして、何度も消した。
指先は動くのに、心だけが置いていかれているみたいだった。それでも、いつかは向き合わなければならない。
夏の朝の静けさの中で、小さく息を吐いて覚悟を決める。
震える指で、ゆっくりと言葉を並べた。
〈こちらこそ、気づかなくてごめんね。今日の放課後、そっちの教室行くね〉
送信ボタンを押した瞬間、胸の奥に小さな痛みが広がった。
気づけば、家を出る準備をしなければいけない時間になっていた。
重たい気持ちを抱えたまま、準備をして、玄関を出る。
夏の朝の風は相変わらず爽やかで、青く広がる空は昨日と何も変わらない。
それなのに、ゆっくりと歩き出した学校までの道は、いつもより少し長く感じた。



