隣にいる晴海と見る花火だからなのか、いつもならただ眺めて終わるはずの景色が、今日は胸の奥深くまで届いてくる。
繋いだ手はまだ離れないまま。
時々、晴海の指が少し動くたびに、それだけで心臓が大げさなくらい反応する。
花火が次々と夜空へ消えていく。
その光に照らされた晴海の横顔は、いつもより少しだけ遠く見えて、でも手を伸ばせば届く距離にいることが嬉しかった。
「……綺麗だね」
小さく呟くと、晴海は空を見上げたまま「うん」と返した。
しばらく何も話さなかった。
ただ隣にいて、同じ景色を見ている。
それだけなのに、どうしてこんなにも満たされるんだろう。
花火が終わってしまえば、この時間も終わる。
明日になれば、また教室でいつものように過ごすことになる。
そんな当たり前の未来が少し寂しく思えるくらい、今この瞬間が大切だった。
夜空に大きな花火が咲く。その光が消えていく前に、晴海が小さく息を吸った。



