私だけ。
いつも晴海に振り回されているのは、私だけなんだ。
そう思うと悔しいはずなのに、不思議と嫌じゃなかった。
人の波を抜けて、祭りの喧騒が少しずつ遠ざかっていく。
屋台の明かりも、楽しそうな笑い声も、背中のほうへ流れていく。
やがてたどり着いたのは、誰もいない開けた場所だった。
夜空を遮るものは何もなく、夏の風だけが静かに吹いている。
遠くでは、花火の始まりを待つように、街の明かりが小さく瞬いていた。
まるで、この場所だけ時間から切り離されたみたいだった。
隣には晴海がいる。
繋いだ手には、まだ温度が残っている。
夜空に最初の一輪が咲いた。
大きな音とともに広がった光は、真っ暗だった空を一瞬だけ昼間みたいに明るく染めて、ゆっくりと消えていく。
綺麗、という言葉しか出てこなかった。
でも本当は、それだけじゃ足りないくらいだった。



