青に溶ける、きみ。




開始二十秒で、一匹もすくえないまま終了。

網が破れてしまえば、もうどうすることもできない。


世の中には、破れた網でも器用に金魚をすくってしまう達人がいるのかもしれない。でも、少なくとも私にはそんな才能はない。



「俺の勝ち」



そう言って、晴海は指で小さくピースを作りながら笑った。

その無邪気な笑顔を見た瞬間、負けた悔しさなんてどこかへ飛んでいってしまう。


……こんなの、ずるい。



「ドンマイ」と笑うおじさんの声に、さらに恥ずかしくなって俯く。



「花火始まるし、そろそろ行くか」



金魚を入れた袋を受け取った晴海がそう言った。



「うー……悔しい」



思わずこぼした言葉に、晴海は肩を揺らして笑う。



「そんな悔しがる?」



くつくつと楽しそうに笑う声を聞いていると、いつの間にか私まで笑ってしまっていた。


負けたことなんて、本当はもうどうでもよくなっていた。


ただ、こうして晴海と笑い合える時間が、夏の夜の一瞬一瞬が、夢みたいに思えた。