「まあ、俺が勝つけどね」
余裕そうに笑う晴海。その表情を見た瞬間、負けず嫌いな気持ちが一気に顔を出す。
「……絶対負けないから」
そう言い返して、網を握る手に力を込めた。
屋台のおじさんの「よーい、ドン!」という声と同時に、私と晴海の金魚すくい対決が始まった。
水面を揺らさないように、そっと網を入れる。金魚の動きを追って、慎重に角度を変える。
絶対に一匹くらいは取ってみせる。
そう思っていたはずなのに――。
勝負は、あまりにもあっけなく終わった。
「……う、うそ」
開始から、たったの二十秒。
私の網はあっという間に破れてしまっていた。
「夏井、へたくそすぎ」
隣から聞こえる笑い声。
晴海のカップの中には、いつの間にか三匹の金魚が優雅に泳いでいる。
対して私のカップは、綺麗なまま。水が揺れているだけで、そこには何もいなかった。
「ぜ、ゼロ!?」



