青に溶ける、きみ。




ふたりで歩き出す。

屋台の明かりが揺れて、色とりどりの浴衣が夏の風に溶けていく。


遠くでは花火を待つ人たちの笑い声が響いているのに、私の周りだけ時間がゆっくり流れているようだった。


握られた手から、触れる肩から、じんわりと熱が広がっていく。



「夏井、浴衣似合ってんね」



晴海は私のほうを一切見ないまま、ぶっきらぼうにそう呟いた。


何でもないことみたいに言うくせに、赤くなった耳が全部を隠しきれていなくて。

その不器用な優しさに気づいてしまった瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。



大塚くんとは、違う。

何でもさらっと言葉にしてしまう彼とは違う。


まっすぐで迷いのない言葉をくれる彼とは違って、晴海の言葉はいつも少し遠回りで、

素直じゃなくて、それでもその奥には大切にしまってきた気持ちが滲んでいるような気がするの。



大塚くんに言われた言葉は、確かに嬉しかった。


でも今、私の手のひらに残る晴海の温度のほうが、どうしようもなく心に残っている。


たった一言の「似合ってる」が、どうしてこんなにも私の中で大きく響くんだろう。