大塚くんと、はぐれてしまった。
今日、この夏祭りで返事をするつもりだったのに。
何度も考えて、何度も言葉を探して、やっと向き合おうと思っていたのに。
それなのに今、私の隣にいるのは――。
「晴海は、みんなのところに戻らなくていいの?」
気づけば、そんな言葉が口からこぼれていた。
晴海は少しだけ前を向いたまま、いつものような声で答える。
「いーよ。最初から、このつもりだったし」
「……え?」
その言葉の意味が分からなくて、思わず聞き返そうとする。
「それってどういう――」
そう言いかけた瞬間だった。
晴海の手が、私の手に触れた。
驚いて息を飲む暇もないまま、その大きな手が私の手を包み込むように、ぎゅっと握りしめる。
「俺からは、離れないでね」
「……っ!」
人混みではぐれないようにするためなのかもしれない。迷わないようにするためなのかもしれない。
でも、握られた手から伝わる温度も、触れ合う肩の距離も、全部が私の心を落ち着かなくさせた。



