大塚くんとふたりで、夜店の灯りをひとつずつ拾い集めるみたいに歩いた。
りんご飴の透き通る赤を眺めて笑って、焼きたてのベビーカステラを半分こして、はしまきを頬張って熱いねなんて言い合って。
ソースの香りも、遠くから聞こえる祭囃子も、夏の夜風に溶けていく蝉の名残も、その全部が今日という一日に閉じ込められていく気がした。
隣を歩く大塚くんの歩幅に合わせながら、それでも頭の中ではずっと別のことばかり考えてしまう。
………返事は、いつ伝えればいいんだろう。
どう切り出せば、この空気を壊さずに済むんだろう。
言葉は胸の奥で何度も形を変えては、結局どれも口まで届かない。
きっと今日を境に、こうしてふたりで並んで歩くことなんて、もうないのかもしれない。
空を見上げれば、藍色が少しずつ深くなっていて、もうすぐ花火が始まる時間だった。
でも、この場所からじゃ見えないね。
そう思って、隣にいるはずの大塚くんを見上げる。
「……っ、あれ?大塚くん……?」
右を見ても、その姿はない。
慌てて左を向いても、人、人、人。
色とりどりの浴衣が波みたいに揺れるだけで、探している背中はどこにも見つからなかった。
「……う、そ」



