期待させるようなことはしたくないと思っていたのに、結果的にこんなふうに喜ばせてしまっている。
大塚くんは何も知らない。ただ目の前にいる私を見て、素直に笑ってくれているだけ。
その笑顔が眩しいほど優しいからこそ、このあと自分が伝えようとしている答えが、あまりにも残酷に思えた。
何か言わなきゃ。
せめて少しでも、この優しさに報いる言葉を返したい。
でも喉の奥は苦しくて、どんな言葉もそこから先へ進んでくれない。
胸を締めつける痛みだけが、ゆっくりと広がっていく。
「……ありがとう」
結局、やっとの思いでこぼれたのは、その一言だけだった。
その言葉が、これから壊れてしまう時間への、小さな別れの挨拶みたいに聞こえてしまって、私はりんご飴を握る指先に、そっと力を込めた。



