青に溶ける、きみ。




「あっ、えっと……お金!お金返す!」



思いついたように浴衣の袖へ手を入れると、「何言ってんの?」と大塚くんは少し困ったように笑った。



「いらないよ」

「でも……」

「今日、俺が無理やり連れてきたんだから。今日は全部、俺のおごりね」

「それはちょっと……!」



思わず首を振る私に、大塚くんは小さく笑って、「それに」と続ける。



「かわいい浴衣だって着てきてくれたんだし。もう十分」



その言葉に、胸がちくりと痛んだ。




違う。この浴衣は、お母さんに着せられただけで、大塚くんのために選んだわけじゃない。


本当のことを言えば、その言葉まで裏切ってしまいそうで、何も言えなくなる。