青に溶ける、きみ。




何に安心しようとしているんだろう。何をそんなに隠したいんだろう。



「夏井。りんごにする?」



優しく差し出された声に、「……うん」と小さく頷く。それだけで精一杯だった。


胸の鼓動は少しも静かにならない。


浴衣の帯が苦しいわけじゃない。夏の暑さのせいでもない。

胸の奥だけが、どうしようもなく騒がしかった。




……私は。

私は別に、晴海の特別な誰かじゃない。


隣を歩く理由があるわけでも、名前を呼び合う約束があるわけでもない。ただの、クラスメイト。


……それだけなのに。


どうして、大塚くんと一緒にいるところを見られたくないなんて思ってしまうんだろう。



「……っ、何考えてるんだろ、私」



思わず零れた小さな呟きは、祭り囃子に紛れて誰にも届かなかった。