青に溶ける、きみ。




「それにしても、大塚くんか〜」



緑がくすりと笑う声に、胸の奥が小さく揺れた。


今日は、大塚くんと花火大会へ行く日。


本当は、いつもの私服で気楽に出かけるつもりだった。


でも家を出ようとした瞬間、お母さんに「去年買った浴衣、一度しか着てないんだからもったいないでしょ。今年もちゃんと着ていきなさい」と半ば強引に引き止められてしまって、


ヘアメイクのプロといっても過言ではない緑を家に招き、気づけば私は自分の部屋で、鏡の前に座っていた。


窓から入り込む夏の風が白いレースのカーテンを揺らし、どこか遠くで風鈴が澄んだ音を鳴らす。


その音に合わせるように、緑の指先が私の髪を優しく梳いていく。


「それで、誰と行くの?」

そう聞かれるのは当然だった。浴衣を着て、髪まで結ってもらっている私を見れば、誰だって気になる。


私はずっと緑に、大塚くんから想いを伝えられたことを話せずにいた。


言葉にしてしまえば、それが本当の出来事になってしまう気がして、なんとなく避け続けていた。



でも今日は隠しきれなくて、少しだけ視線を落としながら、ぽつりぽつりと話した。