「あの、大塚くん」 「ん?」 私は制服のスカートをぎゅっと握りしめる。 「この前の返事、なんだけど——」 「待って」 「……え?」 少し困ったように笑いながら、私を見る。 「今、断ろうとしてた?」 「………。」 「なんとなく分かってた」 「……ごめん」 やっと絞り出した声は、自分でも驚くくらい小さかった。 「謝らないで」 大塚くんはゆっくり首を横に振る。 「まだ聞いてないんだから」 少しだけ間が空く。夕暮れの風が、雨の匂いをさらっていく。