「っ、酸っぱ……」
「やっぱり」
目の前で大塚くんが楽しそうに笑う。
「その反応すると思った」
「もう……!」
頬を膨らませると、「でも、そういう反応見たかった」と悪びれもなく笑う。
「ひどい」
「ごめんごめん」
そう言いながら全然反省していない顔がおかしくて、結局私も笑ってしまった。
それからは本当に他愛もない話ばかりだった。
夏休みの宿題は終わりそうかとか、クラスの先生の口癖とか、小学生の頃に自由研究で失敗した話とか。
恋愛の話なんて一度も出なかった。それが少しだけありがたかった。
大塚くんは1年のときからそうだ。
相手が話しやすい空気を作るのが上手で、気づけば私ばかり喋っていることも少なくない。
友達として一緒にいる時間は、本当に居心地がいい。
………だからこそ、苦しい。この人が向けてくれる想いに、私は同じ形では応えられない。



