「このケーキ美味しい!」
真央がうっとりとした表情で呟く隣で、私はレアチーズケーキに手を伸ばす。
ぱくっと一口食べると、口の中に爽やかな酸味と甘みが広がって......
「美味しい!」
めちゃくちゃ美味しかった。
思わずうっとりと目を輝かす。
「やっぱりこのお店にして良かったね!」
「うん!人気あるの納得だよ!」
その向かいで、お兄がカフェラテを飲んでいる。
「椿芽、よう噛んで食べや」
「流石に喉には詰まらせないよ......」
そんなやり取りに真央はコソッと耳打ちで尋ねてきた。
「さっきから気になっていたんだけど、何でお兄さんだけ関西弁なの?」
真央は兄の関西弁が気になっているようだ。
「私の両親、お母さんが関西の人でお父さんが関東の人だから、お母さんの口調が移ったんだよ」
「へ〜!」
「ちっちゃい頃の椿芽は関西弁と標準語が混じって独自の言葉作り上げてとったからな〜」
お兄が楽しそうに笑う。
「なっ、その話は良いから!!」
幼い頃の話をされるのは、めちゃくちゃ恥ずかしいんだよ!?......穴があったら入りたい。
「近くの砂場に穴って空いてるかな......」と呟くと色々察したらしい真央が「やめて!醜態を晒さないで!?」と全力阻止。
とりあえず話題を変えようと頭を捻る。何かお兄の気を紛らわせれるような話題は......そうだ!
「そ、そうだ!お兄、二年生になって転校生が来たんだけど......」
「転校生?」
「そう!」
定番そうな茜くんの話をする。
「転校初日に椿芽を気絶させた奴か」
「うん。......え、何で知ってるの?」
さも当たり前のように返されて、反応に少し遅れる。
「母さんに電話きとって、それに出たん俺やから」
「あ、そうなんだ......」
だからあの日、家に帰るとめちゃくちゃ心配されたのか......。
「で、その転校生は今どうなん?」
「どうって......今はクラスに溶け込んで仲良くやってる、かな?」
「何もされてないか?」
お兄の言葉に思い返してみる。抱きつかれたり抱きつかれたり抱きつかれたり......あれ、抱きつかれてる以外茜くんの印象が何もない!?
(あれ......あれ?)
頭の中が一瞬フリーズする。それ以外にもあると自分に言い聞かせ、頭を捻る。
浮かんでくるのは、廊下や教室で何かと距離が近い茜くんの姿ばかり。
「......えっと......」
「なんや、歯切れ悪いな」
こういう時のお兄は鋭い。
真央に視線で訴えかけると、茜くんの行動を知っている真央が、助太刀してくれた。
「茜くん、ちょっと距離が近いだけで良い子ですよ」
「......そか」
お兄はそれだけ言って深く追求はしなかった。
その後、お会計を済ませて帰宅した。
「お兄!玉ねぎは私が切るって言ったじゃん!」
帰宅後、玉ねぎを切って涙を流しながら台所に立っているお兄を横目に、私は切ったお肉を鍋で焼いていく。
両親は共働きで帰りが遅いので、夕飯は私達が作ることが多い。と言っても、お兄は料理の腕はからっきしなので、料理は自然と私担当になっているが。
(手伝ってくれるのはありがたいけど......大丈夫かな?)
「椿芽が怪我したらどないすんねん......!」
いや、まずはその明らかに指を怪我しそうな手をどうにか丸めてほしい。ほら、猫の手ってやつ。
「玉ねぎは冷水に十五分くらい浸すと辛くないよ」
「はよ言ってほしかったなぁ......」
お肉を焼いていた手を止め、お兄が切ってくれた野菜達を鍋に投入。さらに焼く。
その様子を見てお兄がひと言。
「ほんま、椿芽の方がしっかりしとるな」
「もう中学生だからね」
「大きくなったなぁ......」
それから水やカレールーを入れて煮込みながら、お玉でぐるぐるとかき混ぜた。
真央がうっとりとした表情で呟く隣で、私はレアチーズケーキに手を伸ばす。
ぱくっと一口食べると、口の中に爽やかな酸味と甘みが広がって......
「美味しい!」
めちゃくちゃ美味しかった。
思わずうっとりと目を輝かす。
「やっぱりこのお店にして良かったね!」
「うん!人気あるの納得だよ!」
その向かいで、お兄がカフェラテを飲んでいる。
「椿芽、よう噛んで食べや」
「流石に喉には詰まらせないよ......」
そんなやり取りに真央はコソッと耳打ちで尋ねてきた。
「さっきから気になっていたんだけど、何でお兄さんだけ関西弁なの?」
真央は兄の関西弁が気になっているようだ。
「私の両親、お母さんが関西の人でお父さんが関東の人だから、お母さんの口調が移ったんだよ」
「へ〜!」
「ちっちゃい頃の椿芽は関西弁と標準語が混じって独自の言葉作り上げてとったからな〜」
お兄が楽しそうに笑う。
「なっ、その話は良いから!!」
幼い頃の話をされるのは、めちゃくちゃ恥ずかしいんだよ!?......穴があったら入りたい。
「近くの砂場に穴って空いてるかな......」と呟くと色々察したらしい真央が「やめて!醜態を晒さないで!?」と全力阻止。
とりあえず話題を変えようと頭を捻る。何かお兄の気を紛らわせれるような話題は......そうだ!
「そ、そうだ!お兄、二年生になって転校生が来たんだけど......」
「転校生?」
「そう!」
定番そうな茜くんの話をする。
「転校初日に椿芽を気絶させた奴か」
「うん。......え、何で知ってるの?」
さも当たり前のように返されて、反応に少し遅れる。
「母さんに電話きとって、それに出たん俺やから」
「あ、そうなんだ......」
だからあの日、家に帰るとめちゃくちゃ心配されたのか......。
「で、その転校生は今どうなん?」
「どうって......今はクラスに溶け込んで仲良くやってる、かな?」
「何もされてないか?」
お兄の言葉に思い返してみる。抱きつかれたり抱きつかれたり抱きつかれたり......あれ、抱きつかれてる以外茜くんの印象が何もない!?
(あれ......あれ?)
頭の中が一瞬フリーズする。それ以外にもあると自分に言い聞かせ、頭を捻る。
浮かんでくるのは、廊下や教室で何かと距離が近い茜くんの姿ばかり。
「......えっと......」
「なんや、歯切れ悪いな」
こういう時のお兄は鋭い。
真央に視線で訴えかけると、茜くんの行動を知っている真央が、助太刀してくれた。
「茜くん、ちょっと距離が近いだけで良い子ですよ」
「......そか」
お兄はそれだけ言って深く追求はしなかった。
その後、お会計を済ませて帰宅した。
「お兄!玉ねぎは私が切るって言ったじゃん!」
帰宅後、玉ねぎを切って涙を流しながら台所に立っているお兄を横目に、私は切ったお肉を鍋で焼いていく。
両親は共働きで帰りが遅いので、夕飯は私達が作ることが多い。と言っても、お兄は料理の腕はからっきしなので、料理は自然と私担当になっているが。
(手伝ってくれるのはありがたいけど......大丈夫かな?)
「椿芽が怪我したらどないすんねん......!」
いや、まずはその明らかに指を怪我しそうな手をどうにか丸めてほしい。ほら、猫の手ってやつ。
「玉ねぎは冷水に十五分くらい浸すと辛くないよ」
「はよ言ってほしかったなぁ......」
お肉を焼いていた手を止め、お兄が切ってくれた野菜達を鍋に投入。さらに焼く。
その様子を見てお兄がひと言。
「ほんま、椿芽の方がしっかりしとるな」
「もう中学生だからね」
「大きくなったなぁ......」
それから水やカレールーを入れて煮込みながら、お玉でぐるぐるとかき混ぜた。



