ロマンスに、キス




それにしても、開口一番が、“放課後暇?”って、どういうこと。



「今日は、どこ連れまわす気?」


「連れまわしてるつもりねーんだけど。心外だな」


「いつも急に言ってくるじゃん。あたしのこと、都合いい女とでも思ってるんでしょ」


「前日に言えばいいわけ?」


「……そういうことじゃないけど」



被せ気味に返したあたしに、佐野は短く息を吐いた。



「なんだよ」



呆れた声。
でも、怒ってはいない。


正直に言えば、前日に言ってほしい。


だって、そしたらもっとかわいく準備できると思うから。

今日は、朝から髪の調子が最悪で、どう頑張ってもまとまらなくて、結局ひとつに縛ってきた。



「そういや今日、髪おろしてないんだな」


「……うん。うまくできなかったの。いつもは、ちゃんとうまくできるのに」



佐野は、あたしの返事を面白がるでもなく、ただ自然な動きで、ポニーテールになった髪先を指に絡めた。

くる、くる、と。
遊ぶみたいに。