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佐野と、"仲直り"みたいなものをした。
カップケーキもあげて、やっといつも通りに戻ってきた気がする。たぶん。
携帯を見ながら、佐野からの連絡を待つけれど、一向にこない。あいつ、いつもあたしを待たせる。
「君かわいいね。高校生だよね?」
佐野が毎回あたしを待たせるから、猿以下の男が釣れる。
「もう、帰るところ?」
今日のあたしは気分がいいから、あの遅刻魔を待っている間、相手をしてあげることにする。
「待ち合わせしてて~」
「じゃあ、よかったら連絡先でも交換しない?」
「パパに、知らない人と交換はだめって言われてて…」
「え~、いいじゃんこんくらい」
……“こんくらい”。
こんくらいじゃないんだけど。
自分の顔を鏡で見ろ。
そろそろ頃合いかな、と思ったそのとき、携帯が震えた。
画面に浮かんだ短い通知。
〈もう着く〉
……それだけ?
ごめん、の一言くらい言えないの?
人を、こんなに待たせておいて。
そう思いながらも、指先は画面をなぞるだけで、返事はしない。
悔しいけど、佐野はこういうやつだって知ってる。期待したあたしが悪い、ってことにしておく。



