ロマンスに、キス




黙って静かに食べてくれている佐野を見て、ずっと思ってることを聞きたい気持ちになった。



「佐野は、なんであたしにキスするの」



震える声に、気づかれないように、必死で平気な顔をしながら、呟く。


きっと、ほしい言葉は返ってこない。
…別に、何かを求めてるわけじゃない。


ただ、知りたかった。
どうして、そんなことをするのか。



「それ聞いて、どうすんの」



佐野は、食べ終わったカップケーキのラッピングを、丁寧にたたんで袋にしまった。



「わかんない。でも、佐野のこと、知りたい」



だって、フェアじゃない。

あたしだけが、全部さらけ出してるんだから。



「…前、聞かれたら答えるって言った」



そういうと、佐野は「そんなこと言ってねーよ」って言い返してきたけど、そんなニュアンスだったもん。


胸がギュッと締め付けられるのを感じながら、佐野の反応を、視線で追う。

じっと待っていると、佐野はうーんと考えてから、ゆっくりと口を開いた。



「お前のこと、いいと思ってるからじゃね」



ぶっきらぼうに、そう言った。

でも、少しだけ、あたしから視線をそらして、横を向いた佐野の耳が赤い気がする。


“いいと思ってる”って、つまりどういうこと?