佐野は何も言わずに、あっさり受け取った。
そのまま、迷いなくラッピングのリボンをほどく。
「え。今、食べるの?お弁当は?」
「こっち先」
……それは、覚悟してなかった。
あたしの前で?
今?
せめて、あたしがいなくなってからがよかった。
お弁当の後とか。誰も見てないところで、こっそりとか。
いてもたってもいられなくて、佐野が口に入れる瞬間に、思わず立ち上がった。
「あたし、行くから」
心臓がバクバクして、手も少し震えてる。
でも、目の前の佐野は、平然とモグモグ食べてる。
「お前、作んの得意なのな」
たぶん、おいしいってことだよね。
口元がゆるんでしまう。
思わず笑いそうになったけど、慌てて口元を隠す。
「完璧美少女だから」
照れてるのを隠すようにそんなことを言いながら、再び佐野の前にしゃがんだ。
「ははっ、そうだな」
嫌味を言われるかと思ったけど、素直な、無邪気な笑顔だった。
無邪気、かわいい。大きな口で食べてる、そこもいい。



