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昼休み、あたしは非常階段には行かずに、真っ先に屋上に向かった。
いるはず。
いないなら、殴る。
扉を勢いよく開ける。
……誰もいない。
でも、裏のほうにいるの、あたしは知ってるんだからね。
少し緊張しながら裏へ回ると、いた。
寝てる。
携帯を手に持ったまま、あぐらをかいて寝てる。
あたしの心臓が、バクバク鳴って、息も、ちょっと速くなってる。
そっと佐野の前にしゃがんで、震える声で、聞いてみる。
「佐野、カップケーキ好き?」
寝てるし、もちろん返事はない。
「多分、いっぱいもらったよね」
チラ、と隣に置いてある袋を見る。
何個か、それらしきものが入ってる。
お弁当を食べた後にでも、食べるつもりなのかな。
手元のカップケーキをぎゅっと握りしめる。
「佐野のこと考えて……甘さ、控えめにしたんだけど……」
そう言った瞬間だった。
バチッ、と音がしそうなくらい、佐野が目を見開く。
「いる」
即答。
間も、迷いも、なにもない。
至近距離で目が合って、動揺するのはあたしだけ。
「はやく、ちょーだい」
そんなふうに言われて、頭が真っ白になる。
おどおどしながら差し出してしまって、ちょっとどころじゃない。かなり、恥ずかしい。



