そんなことを考えながら、カップケーキをじっと見つめてると、隣の班から声が聞こえた。
「佐野くんにあげてみよっかなー」
「えー、甘いの苦手そうじゃない?」
「そうかな?カップケーキって、そんなに甘いかな?」
残念。
あいつは、カップケーキすらも甘いって感じる人間だ。
あたしより口うるさいし。
でも、そっか。そうだよね。
佐野にあげる人は、そりゃいるよね。
佐野だもんね。
トッピングのないシンプルなカップケーキを見つめる。
この授業が終わってすぐ渡すなんて、あたしのプライドが許さない。
でも、あの日、助けてもらったお礼なんだから、あげないわけにもいかない。
別に、会いたいとかそういうわけじゃない。
本当に、ただのお礼。貸しを作ったみたいで、ちょっと気持ち悪いから。
それだけ、なんだもん。
…だから、出来立てじゃなくたっていい。
冷たいままでも、ぜんぜんいいの。



