ロマンスに、キス




「できたカップケーキは、きちんとラッピングしてねー。ちゃんとラッピングの袋は持ってきた?」



計量器の上のボウルに材料を慎重に入れながら、あたしは数字に集中する。

先生の声は聞こえてるけど、目は計量器の数字に釘付け。

粉を一さじ、砂糖をひとさじ。…ほんとに、全部きっちりでないと気が済まない。



「柏谷さん、本気だね」


「お菓子作りって、こういうの大事だよね~」


「確かに、それはそう」



失敗は絶対にしたくない。
手元を見ながら、少し胸が張る。



「柏谷さんは、誰かにあげるの?」



…一応、あげる人は決めてるけど。



「ママとパパにあげたいかな」


「それでもまだ余るよ?私は全部自分で食べるけど」



ひとり、3つもらえるらしいカップケーキ。
ラッピングの袋は自分で用意してきた。