ロマンスに、キス




「あ、たし…さの、の前でっ…ちゃんと、かわいいっ…?」



声が、小さく震えた。

こんなこと、こいつに聞いても、どうせ「かわいくない」って言うに決まってる――そう思いながらも、言わずにはいられなかった。



「……世界一、かわいーよ」


「……っ、」



なんで、こういうときだけ……

どうして、こうも自然に、簡単に、言えるんだろう。


ずるい。
嘘つきだ。

思ってないくせに――


でも、佐野は、違う。


優しい顔で、真っ直ぐ、あたしを見ている。
その目には、軽い嘘なんて、ひとかけらもないような気がした。


……本当に、あたしのこと、かわいいって思ってくれてるのかも。



嘘だとしても、構わない。
胸がぎゅっとなるけど、痛くはない。

嬉しい、ただそれだけで満たされる、こんな感覚は初めてだった。