「……次の日から、黒板に悪口を書かれたり、ハブられたりして。仲良かった女の子の友達も、手のひら返したみたいにさ。“実は前から一千華のこと嫌いだったんだよね”とか、“ちょっと可愛いだけじゃん”とか。あたしがいなくなっても、みんな普通に笑ってて。ああ、あたしって、そんなもんだったんだって」
一瞬、視線を落として、スカートの裾を、ぎゅっと握りしめる。
「極めつけはさ……。ランドセルに入れてた図鑑が、ばれたの。それで、好きだった男の子に言われた」
喉が、きゅっと詰まる。
「“お前、男みたいで、全然かわいくねーな!”って。そのとき、思ったんだよね。ああ、あたしって……顔しか取り柄がないんだな、って」
だから。
「だったら、かわいいだけは大事にしなきゃ、って思った。男みたいな性格は、ちゃんと隠して。好きなものは、お部屋に閉じ込めて。ばれないように、ばれないように、生きてきた」
佐野のほうを見る勇気がなくて、前を向いたまま続ける。



