冬の光にヴェールは要らない

「お姉ちゃん、万桜って言うのー?」

気づけば、拓人くんが私の足元まで寄って来ていた。

上からだと陰で拓人くんの見えにくいのに、拓人くんが嬉しそうであることは伝わってきた。

「そうだよ」

「じゃあ、万桜お姉ちゃんだ!」

拓人くんの自慢げな顔を見て、キュッと胸が締め付けられた気がした。

いつの間にか日中の太陽は夕日に変わっている。

「じゃあ、用事があるので帰りますね」

先程ついた用事という嘘をもう一度繰り返す。