冬の光にヴェールは要らない

「どんな漢字を書くんですか?」

「……ふじやまは藤の花の藤に普通の山で、まおは一十百千万の万に桜です」

「万桜ですか」

言葉で聞けば「まお」も「万桜」も同じなのに、文字が頭に浮かぶ。

「それと僕のことは壮矢と呼んで下さい。呼び捨てで構いません。僕も万桜と呼びます」

有無を言わせない雰囲気があった。

それでも、私の中の殻のイメージは一枚じゃない。

世間話や他愛のない会話をすることは好きだし、友達というものも嫌いな訳じゃない。

私の殻は二重になっていて、一枚目は誰が入ってきたって良い。

二枚目に踏み込まなければ。

この青年は一枚目に踏み込んだだけ。

そう自分に言い聞かせて、納得させる。