冬の光にヴェールは要らない

「壮矢くん、ごめんね。この後、用事があって……」

わざと拓人くんに聞こえる声量でそう言った。

それでも「壮矢くん」と呼んでいるのに、敬語は違和感すぎてタメ口で話してしまう。まだ頭が動揺したままだった。

「じゃあ、連絡先を交換しませんか?」

その連絡先という言葉を拓人くんは知っていたらしい。

一気にパッと顔が明るくなる。

最近は保育園でも保護者説明などで連絡という言葉を使うだろう。そう考えてから気づいた。

拓人くんを勝手に五歳くらいだと思っていたけれど、小学校低学年の可能性だってある。

それほどまでに私はこの二人のことを知らない。

「お姉ちゃんと家でもお話し出来るの!?」

拓人くんを使う壮矢くんはずるい。

ずるいのに、どこか真っ直ぐさを秘めている。

それでも相手のずるさを非難出来るほど、私の性格が良くないことも事実だった。