妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています

 アデルはジスランと歩いていると、ジスランがアルカイオスの神話を話し出した。アデルは何度も話された全く興味のない話を時にはジスランの博識を褒めて、愛想良く相づちを打ちながら笑顔で聞いている。

 遙か昔、精霊から魔法を授けてもらったが、人間はその魔法で争いを起こしてしまった。
 その争いは長く続き、精霊たちが暮らすとされているアルカイオスにまで戦火が及んだ。精霊たちは怒り、人間から魔法を奪ってしまった。
 争う理由がなくなった人間は深く後悔して精霊に謝罪を込めて再び魔法が使えるようにと願い続けた。

 「お父様は伝承の事をよくご存じね!」
 アデルとジスランの楽しげな話し声が聞こえる。
 ルフェーヌはアデルとジスランから数歩離れて歩いている。ルフェーヌは歩きながらアルカイオスの原生林を見上げている。
 ルフェーヌは豊かな自然を眺め、目を輝かせている。自然に癒やされていると、優しく爽やかな風の精霊が歓迎してくれているように感じて表情を緩ませる。

 数分歩くと原生林の森を抜けると広い場所へ出た。空には小さい白い雲が浮かび、爽やかな青空をしている。原生林の深く濃い緑と突き抜けそうな明るい青が美しい。
 この地で争わない意志を誓約したモニュメントと各属性の精霊像の前に壇上が設営され、椅子が整然と並べられている。
 まだ式典開始時間に余裕がある。辺りには設営の関係者と参列する数組の王族家族しかいなかった。
 精霊へ感謝を伝えるのが目的なため、国王のみの参列であったり、家族で参列したりと自由だ。
 「つまらない式典、早く終わらないかしら。式典後の交流会だけが楽しみだわ。ディエゴ王太子殿下、いつお見えになるかしら」
 アデルは愚痴をこぼす。各国の王族たちがに集まるのは年一回あるこの式典くらいだ。アデルはパーティーでの交流、特にディエゴとの交流を楽しみにしている。