妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています

 しばらく歌っているとオレリアンが二回目の魔法薬とディエゴとルフェーヌの昼食を運んできた。
 ディエゴはオレリアンが寝室へ入って来た事に気づき、ベッドから起き上がる。オレリアンはディエゴの体調が良くなっているのを見て表情を緩める。
 「回復されているようで安心しました」
 オレリアンは表情を緩め、ディエゴへ魔法薬を手渡す。
 ディエゴはオレリアンが持ってきた魔法薬を眉根を寄せて苦そうな顔をして飲む。オレリアンは魔法薬を飲むの見届け、水差しと氷のうの氷を換えて部屋を出ようとする。
 ルフェーヌはオレリアンに話があり、一緒に寝室を出る。
 「どうされましたか?」
 オレリアンは自分を追うように寝室を出てきたルフェーヌを疑問に思いたずねる。
 「聞いてもいい? ファータとは、どなたかしら。ディエゴ様の大切なお方らしいのだけれど、知っていたら教えてくれる?」
 ルフェーヌはオレリアンがファータを知っているかと思いたずねた。
 「ファータ、妖精のことですか? そういう呼び方をしている女性は存じません。そもそも王太子殿下は女性を愛称で呼びません」
 パイロープ国では恋人や親密な関係の女性を可愛いものに例え、その愛称で呼ぶ習慣がある。例えば女性を子猫や天使と呼んで愛情表現をしている。
 「そう……。ファータとは誰なのかしら」
 ディエゴが愛称で呼ぶ大切な女性。ルフェーヌはその女性は一体誰なのだろう、と考えていると胸の奥が痛くなる。
 「はあ……」
 ルフェーヌはディエゴの寝室へ入りながらため息をはく。
 「オレリアンと何を話していたんだ?」
 ディエゴはルフェーヌがわざわざオレリアンを追いかけて話をしたのが気に入らず、追求しようとする。
 「ディエゴ様の大切な女性についてです」
 ルフェーヌにしてはぶっきらぼうにディエゴへ答える。
 「はあ?」
 ディエゴは意味が分からないと言った顔をするが、ルフェーヌはそうとしか答えられない。
 ディエゴは休んだおかげで顔色が良くなり、スッキリとした表情をいている。
 「お前のおかげで体調が良くなってきたから一緒に食べるぞ」
 ディエゴはルフェーヌに食事を一緒にとるように誘う。ルフェーヌがベッドサイドの椅子に座るとディエゴが話し出す。
 「朝食は俺がいなくて寂しかっただろ?」
 ディエゴはからかうようにルフェーヌへ話す。
 「朝食はオレリアンさんがここへ持ってきてくれたので、ここで食べました」
 「そんなに俺のことが好きなのか」
 ディエゴは満足そうに笑い、消化に良いスープを食べている。
 ルフェーヌはディエゴの心が分からず、答えずに食事を食べ進める。