ルフェーヌとディエゴは四時間ほどかかり、孤児院へ到着した。
ディエゴはルフェーヌが照れるので肩を抱くのはやめ、隣に座って孤児院へ到着するまで二人で話しをしていた。
孤児院の子供たちやシスターたちがディエゴとルフェーヌを出迎える。蒸気車を降りると前乗りしている広報部に写真を撮られる。
シスターの修道院長がディエゴ、続いてルフェーヌに挨拶をする。修道院長の挨拶が終わると子供たちがディエゴとルフェーヌに歓迎の挨拶をする。
「ディエゴおうたいしでんか、ルフェーヌさま。来てくれてありがとうございます!」
下は二歳くらいのから上は十六歳くらいの子、二十名ほどが代表してディエゴとルフェーヌへ挨拶をする。
「ありがとう」
ルフェーヌは身をかがめて目の前のにいる子供に目線を合わせ、感謝を言うと体勢を正して全員に目を配りをして感謝を伝える。ディエゴも続いて感謝を伝える。
ディエゴとルフェーヌは孤児院内を見学する。孤児院の運営状況や子供たちの教育についての話を聞いた。
ルフェーヌはディエゴと見学している途中でピアノを見つける。ピアノはある資産家が寄付をしてくれたそうだ。
賛美歌の楽譜とピアノ曲の楽譜が三曲あるという。どれも昔からあるため、子供たちは聞き慣れてしまっているようだ。
「わたしが子供たちのために弾いてみてもよろしいでしょうか?」
ルフェーヌは修道院長へ申し出ると快諾された。修道院長は子供たちを集めると、子供たちは楽しそうにルフェーヌがピアノを弾くのを待っている。ディエゴも興味深そうに耳を傾ける。
ルフェーヌは子供たちが好きそうなアップテンポの楽しそうな曲を弾き始める。
「ルフェーヌさま、すごい!」
幼い子供たちが嬉しそうにはしゃぐ。
「楽譜を見てないのに、全部覚えてるの?」
思春期くらいの子供たちはルフェーヌが何も見ずに弾いている事に驚く。アップテンポで楽しそうな曲だが、激しい指の動きをして難しそうな曲だ。
ルフェーヌがピアノを弾き終わると、子供たちやシスターから拍手が送られる。ディエゴもルフェーヌへ拍手を送る。
ルフェーヌは一礼をしてディエゴの元へ戻る。
「お前にそんな特技があるとは知らなかった」
「子供たちやディエゴ様にも喜んでもらえて嬉しいです」
ルフェーヌは子供たちに囲まれてピアノを褒められ、教えてほしいと言われて笑顔で話している。
孤児院訪問の公務は終わり、ディエゴとルフェーヌは子供たちとシスターに見送られて孤児院を後にした。
夕暮れ頃、ルフェーヌとディエゴは蒸気車の中で行きと同じく隣同士で座っている。
ディエゴは真面目な顔でルフェーヌへ話し出す。
「あのような子供たちを見るとどうしたらよいか分からなくなる。どのような支援を求めているのか、自分たちでどうにか解決できないのか?」
ディエゴは何でも自分で解決してきた。辛い現状を解決できないでいる事が分からない。
「難しい質問です。様々な原因が複雑に絡み合っているのです。わたしはその子供たちが少しでも幸せに過ごしていけるように手助けしたいと思っています」
ルフェーヌは幼い頃からアデルに蔑まれていた。魔法が使えなくて王女失格であること。注目をされたいアデルはルフェーヌを劣っていると言い続けてきた。気の弱いルフェーヌは張り合うこともできず次第に言い返すことができなくなり、自己肯定感を奪われアデルに逆らえなくなってしまった。
ルフェーヌは自分と同じ思いをしている子供たちもいるのではないかと思い、それを少しでも救いたいと慈善活動を行っている。
「俺にはどうにもできないという事が分からない」
ディエゴはふと視線を窓の外に映ると国で一番高いフローガ塔が目に入る。
フローガ塔は炎の精霊の名前を取って名付けられた塔である。
ディエゴは蒸気車を運転しているオレリアンに話しかけ、フローガ塔へ向かわせた。
ディエゴは車を降りると、ルフェーヌの手を引っ張ってフローガ塔へ向かう。フローガ塔は観光名所になっているため、日中は塔の中にある階段を使って頂上へ上る事ができる。
もうすぐフローガ塔の営業終了時間だ。ディエゴはチケット係の女性の制止を気にすることなく、階段を上がっていく。三百段ほどある塔の階段を駆け上がる。途中、ルフェーヌが疲れて足を止めると手を引っ張っているディエゴの足も止まる。
ディエゴはルフェーヌから手を離す。ルフェーヌはディエゴが一人で上がって行ってしまうかと思った。
「きゃっ!」
ディエゴはルフェーヌをお姫様抱っこをして残りの階段を上る。ディエゴは平気な顔してルフェーヌを抱えながら頂上を目指す。
ルフェーヌは自分を抱えて階段を登るディエゴの顔を見上げている。どこか懐かしく思うのは気のせいだろうか。
フローガ塔の頂上へ着き、ルフェーヌを下ろす。陽が暮れて街に炎が使用されている街灯が点いている。街を一望できる塔からの眺めはとても綺麗だ。
「わあ! 綺麗ね!」
ルフェーヌは都会の夜の景色に感激する。ルフェーヌの国のスフェーンではほとんど真っ暗になってしまうため、このような景色は見たことがなかった。
ディエゴはこの景色を見て一言呟く。
「俺はこの塔と同じなのかもな」
どこか寂しそうに自身を例えて呟くディエゴの髪を緩やかに夜風が揺らす。
「わたしは王城の影に隠れた石ころでしょうか」
ルフェーヌも自身を例えて呟く。プラチナブロンドの髪が風で揺れ、時折見える襟元のエメラルドグリーンの髪も風に揺れている。
深刻な顔をしていたディエゴが表情を緩める。
「その石ころは宝石な。俺にとっては宝石」
「ありがとう。それなら、わたしはディエゴ様の塔へ上ってもいいですか?」
ルフェーヌはディエゴを励まそうと自分だったらと例えたが、逆にディエゴに励まされてしまった。
「お前だけが登れる塔だ」
ルフェーヌとディエゴは微笑み合った。
「今日は公務からもお前からも学ばせてもらった。また俺と同行しろ」
ルフェーヌはディエゴへ微笑んで頷く。
陽が落ちて辺りが暗くなってきた。営業終了時間間際に登ったので、塔のスタッフが呼びに来てもおかしくない。
ディエゴとルフェーヌは下へ降りようと階段を下り始める。
先に階段を降りているディエゴは思い出したように振り返ってルフェーヌに言う。
「降りるのが大変だったら、またお姫様抱っこしてやろうか?」
ディエゴは少年のような顔でルフェーヌをからかう。
「ひとりで降りられます!」
ルフェーヌは顔を赤くして訴える。ディエゴは小さく笑い、先に階段を下りて行きルフェーヌはその後をついていった。
ディエゴはルフェーヌが照れるので肩を抱くのはやめ、隣に座って孤児院へ到着するまで二人で話しをしていた。
孤児院の子供たちやシスターたちがディエゴとルフェーヌを出迎える。蒸気車を降りると前乗りしている広報部に写真を撮られる。
シスターの修道院長がディエゴ、続いてルフェーヌに挨拶をする。修道院長の挨拶が終わると子供たちがディエゴとルフェーヌに歓迎の挨拶をする。
「ディエゴおうたいしでんか、ルフェーヌさま。来てくれてありがとうございます!」
下は二歳くらいのから上は十六歳くらいの子、二十名ほどが代表してディエゴとルフェーヌへ挨拶をする。
「ありがとう」
ルフェーヌは身をかがめて目の前のにいる子供に目線を合わせ、感謝を言うと体勢を正して全員に目を配りをして感謝を伝える。ディエゴも続いて感謝を伝える。
ディエゴとルフェーヌは孤児院内を見学する。孤児院の運営状況や子供たちの教育についての話を聞いた。
ルフェーヌはディエゴと見学している途中でピアノを見つける。ピアノはある資産家が寄付をしてくれたそうだ。
賛美歌の楽譜とピアノ曲の楽譜が三曲あるという。どれも昔からあるため、子供たちは聞き慣れてしまっているようだ。
「わたしが子供たちのために弾いてみてもよろしいでしょうか?」
ルフェーヌは修道院長へ申し出ると快諾された。修道院長は子供たちを集めると、子供たちは楽しそうにルフェーヌがピアノを弾くのを待っている。ディエゴも興味深そうに耳を傾ける。
ルフェーヌは子供たちが好きそうなアップテンポの楽しそうな曲を弾き始める。
「ルフェーヌさま、すごい!」
幼い子供たちが嬉しそうにはしゃぐ。
「楽譜を見てないのに、全部覚えてるの?」
思春期くらいの子供たちはルフェーヌが何も見ずに弾いている事に驚く。アップテンポで楽しそうな曲だが、激しい指の動きをして難しそうな曲だ。
ルフェーヌがピアノを弾き終わると、子供たちやシスターから拍手が送られる。ディエゴもルフェーヌへ拍手を送る。
ルフェーヌは一礼をしてディエゴの元へ戻る。
「お前にそんな特技があるとは知らなかった」
「子供たちやディエゴ様にも喜んでもらえて嬉しいです」
ルフェーヌは子供たちに囲まれてピアノを褒められ、教えてほしいと言われて笑顔で話している。
孤児院訪問の公務は終わり、ディエゴとルフェーヌは子供たちとシスターに見送られて孤児院を後にした。
夕暮れ頃、ルフェーヌとディエゴは蒸気車の中で行きと同じく隣同士で座っている。
ディエゴは真面目な顔でルフェーヌへ話し出す。
「あのような子供たちを見るとどうしたらよいか分からなくなる。どのような支援を求めているのか、自分たちでどうにか解決できないのか?」
ディエゴは何でも自分で解決してきた。辛い現状を解決できないでいる事が分からない。
「難しい質問です。様々な原因が複雑に絡み合っているのです。わたしはその子供たちが少しでも幸せに過ごしていけるように手助けしたいと思っています」
ルフェーヌは幼い頃からアデルに蔑まれていた。魔法が使えなくて王女失格であること。注目をされたいアデルはルフェーヌを劣っていると言い続けてきた。気の弱いルフェーヌは張り合うこともできず次第に言い返すことができなくなり、自己肯定感を奪われアデルに逆らえなくなってしまった。
ルフェーヌは自分と同じ思いをしている子供たちもいるのではないかと思い、それを少しでも救いたいと慈善活動を行っている。
「俺にはどうにもできないという事が分からない」
ディエゴはふと視線を窓の外に映ると国で一番高いフローガ塔が目に入る。
フローガ塔は炎の精霊の名前を取って名付けられた塔である。
ディエゴは蒸気車を運転しているオレリアンに話しかけ、フローガ塔へ向かわせた。
ディエゴは車を降りると、ルフェーヌの手を引っ張ってフローガ塔へ向かう。フローガ塔は観光名所になっているため、日中は塔の中にある階段を使って頂上へ上る事ができる。
もうすぐフローガ塔の営業終了時間だ。ディエゴはチケット係の女性の制止を気にすることなく、階段を上がっていく。三百段ほどある塔の階段を駆け上がる。途中、ルフェーヌが疲れて足を止めると手を引っ張っているディエゴの足も止まる。
ディエゴはルフェーヌから手を離す。ルフェーヌはディエゴが一人で上がって行ってしまうかと思った。
「きゃっ!」
ディエゴはルフェーヌをお姫様抱っこをして残りの階段を上る。ディエゴは平気な顔してルフェーヌを抱えながら頂上を目指す。
ルフェーヌは自分を抱えて階段を登るディエゴの顔を見上げている。どこか懐かしく思うのは気のせいだろうか。
フローガ塔の頂上へ着き、ルフェーヌを下ろす。陽が暮れて街に炎が使用されている街灯が点いている。街を一望できる塔からの眺めはとても綺麗だ。
「わあ! 綺麗ね!」
ルフェーヌは都会の夜の景色に感激する。ルフェーヌの国のスフェーンではほとんど真っ暗になってしまうため、このような景色は見たことがなかった。
ディエゴはこの景色を見て一言呟く。
「俺はこの塔と同じなのかもな」
どこか寂しそうに自身を例えて呟くディエゴの髪を緩やかに夜風が揺らす。
「わたしは王城の影に隠れた石ころでしょうか」
ルフェーヌも自身を例えて呟く。プラチナブロンドの髪が風で揺れ、時折見える襟元のエメラルドグリーンの髪も風に揺れている。
深刻な顔をしていたディエゴが表情を緩める。
「その石ころは宝石な。俺にとっては宝石」
「ありがとう。それなら、わたしはディエゴ様の塔へ上ってもいいですか?」
ルフェーヌはディエゴを励まそうと自分だったらと例えたが、逆にディエゴに励まされてしまった。
「お前だけが登れる塔だ」
ルフェーヌとディエゴは微笑み合った。
「今日は公務からもお前からも学ばせてもらった。また俺と同行しろ」
ルフェーヌはディエゴへ微笑んで頷く。
陽が落ちて辺りが暗くなってきた。営業終了時間間際に登ったので、塔のスタッフが呼びに来てもおかしくない。
ディエゴとルフェーヌは下へ降りようと階段を下り始める。
先に階段を降りているディエゴは思い出したように振り返ってルフェーヌに言う。
「降りるのが大変だったら、またお姫様抱っこしてやろうか?」
ディエゴは少年のような顔でルフェーヌをからかう。
「ひとりで降りられます!」
ルフェーヌは顔を赤くして訴える。ディエゴは小さく笑い、先に階段を下りて行きルフェーヌはその後をついていった。

